アポイ岳、あまり知られざる?天空のシャクナゲ庭園 
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 アポイ岳といえば、「花の山」、「高山植物の宝庫」として広く知られています。また、美しいだけでなく、学術上の価値も高いことから、昭和14年に「天然記念物」に指定され、昭和27年には「特別天然記念物」に指定され、様似町のシンボルとして広く慕われている山です。

 アポイ岳は、北海道は、日高山脈の南部に位置し、海岸線から4Km程離れた所に位置する、標高810.6mの山です。標高から見ると、決して高い山ではありません。しかし、そこには、ヒダカソウやコウゾリナ等のアポイ岳固有な植物があります。また、諸先達の調査研究により、約800種の植物が確認され、その中には80余種もの高山植物が確認されています。
 なぜ、このように低い標高の山でありながら、このように特異な植物相の山なのか? それらの成因等は、「アポイ岳の高山植物」様似町発行に詳しく説明されていて、「なるほど」と納得したものでした。

 アポイ岳には、今までに数度登ったことがありましたが、いずれも旧道ルートでした。若い頃に山登りの楽しみを知り、仕事が忙しくなり休日も仕事をしなければならない等で久しく山行には縁がありませんでしたが、健康維持のためにもと、2005年6月にアポイの花を見に行こうと旧道から登りました。時期的にも良くたくさんの花を見ることが出来て、充実感を味わうことができました。
 その下山中、新道ルートの下山コースの分岐に出て、ガイドブックで新道ルートの存在は一応知っていたので、興味がわいたので通ってみることにしました。写真のような整備された立派な道路で、森林浴を存分に味わいながら快適に下山できました。途中ではヤマザクラの木が花を咲かせているところが2カ所ほどあってきれいでした。時期的にラッキーでした。また、しばらく道を進むと、エゾツツジ? の群落が現れ、馬の背のお花畑とはまたちょっと違った美しい花々を鑑賞しながらの楽しい下山になりました。さらに進むと、道の両脇の笹原にシャクナゲの群落がありました。花を咲かせている時期ではなかったので、当時は見た目には大きな印象は無かったのですが、とにかくすごい群落をこの目で確認したことは、これは大きな出会いでした。
 左の写真の花の正確な名前は知りませんが、ツツジには間違いなく、また花の色からエゾムラサキツツジでは無いと思います。道沿いには、同じツツジでも微妙に色の違うツツジや、咲きかけのつぼみの状態のツツジやらがあって、とても楽しい山行になりました。下山した登山口の駐車場には、八重桜の花が見事に咲き誇っていて、これも見事でした。

 翌年2006年の7月9日、また足慣らしにアポイ岳に登ろうと思って行くことになります。この時の山行が、アポイ岳の天空の石楠花庭園との印象的な出会いのきっかけになります。
 新道ルートの登山口に、このような看板が立っています。「危険な箇所もあるため通行禁止」という文字が目立ちます。しかし、実際に、この新道ルートを歩いて下りてきて知っているので言えるのですが、そのような危険な箇所が有るどころか、その多くが車でも通れるような立派な林道のようになっています。ただし、歩道ルートなので、実際は車が通れる作りにはなっていず、途中には木道もあり(立派です)、階段状の作りになっている所もあり、また、雨裂によって通路が大きくえぐれている所もあるので車は通れません。しかし、人間が歩くのなら全然危険はありません。実際にこのルートを案内してあげた人も「危険な場所は無かった」と言っているので、これは自分だけの判断ではないと自信を持って言うことができます。
 登山口から平らな林道を数百m歩くと、旧道と新道の分岐点に(写真)に辿り着きます。右側に曲がると旧道コースに入ります。新道はこのまままっすぐ進みます。「通行禁止」の看板がありますが、山は「自己責任」を自覚し進みます。ほとんど歩く人がいないせいか、蕗の葉が通路をおおっていたりしますが、手つかずの自然の中を歩く爽快感があったりします。今まで何度もここを歩いても、この入り口付近は人の踏み跡の気配が感じられないのは、たまたまの偶然なのでしょうか? 階段状の通路を通っているときにヘビが出てきたかと思うと急いで道路左側の石組みの穴の中へ隠れていきました。久しぶりに見るヘビなので、自然の中へやってきた事を実感できたりしました。
 200mほど歩いた地点で後ろを振り返ってみると、太平洋の海が見えていました。このような立派なルートです。ガイドブックで見た写真よりは、時が経っているせいか、道路を雑草が浸食するように茂ってきていました。風を感じながらの山歩きは格別です。



 ここから、また200m程歩くと、早くもシャクナゲの木に出会うようになります。
 出会ったシャクナゲは、花の時期に早いせいか、まだつぼみのままのものがほとんどでした。中には、薄紅色に色付き、きれいに開花しているものもまれにありましたが、全体的にはまだでした。

 このシャクナゲ群落は、これから5〜6百m、いやそれ以上有ったかも知れません。道の両脇にずっと続いていました。これらの花が咲いていたら、さぞかし見事なものだろう。見てみたいもんだなぁ〜、という思いが強く起こりました。しかし、いつ頃咲くのだろうか? 山のガイドブックの新道ルートの解説を読んでも、そんな紹介の内容は無い。いつ頃なのか、それは自分で来て確かめるしか無い。いつか、見たいものだ、いつか必ず…。
 しばらく歳月がたち、2011年6月19日、再び新道ルートを訪ねる機会がありました。ツツジはこのように見事に咲いていました。しかし、シャクナゲの方はまだ全然の様子。いつが花の時期なのか? それを知りたい!!



 この同じ2011年の7月20日、庭のシャクナゲが咲く時期になりました。休日でもあり、アポイはどうなのか、再び行ってみる事にしました。

 登山口の道路脇には桑の木が実を熟し始めていました。桑の実は子供の頃に食べた事があるけれど、ここ何十年くらいかは見たこともなかったので、とても懐かしい気分になれた。黒く熟したものを一つ食べてみたら、甘酸っぱい懐かしい味がした。
 新道入り口から数百mの地点、標高にして150mくらいだろうか。
あった!! しかも、見事に咲いているではないか!! しかも、今し方花びらを開いたばかりかのような咲きたて状態だ。 すごい!!!

 もう言葉はいらないと思うので、しばらくは、現地の写真で埋め尽くします。悪しからず。開くのに、重たいページになってしまって済みません。

 歩みを進めるほどに、変化を見せるシャクナゲの群落です。正に見事な、「天空の庭園」とはこのような光景を言うのだろうと思わざるを得ませんでした。
 道の途中に、このような小さく水が
流れている場所があります。大雨が
降った時にはそれなりの流れになる
のだろうとは思いますが、通常はこの
ような流れのようで、幅40Cm、深さ
5Cm程度の流れでした。靴をぬらす
こともありません。 
 

小川を過ぎたあたりに設けられている木道。かなり立派な作りになっています。この辺りもすごいシャクナゲ群落があって、もう見事としか言いようがありません。写真を撮るアングルを探しながら歩く山行は、かなり幸せ気分、最高です。

この大群落を抜けると、標高280m あたりの地点でしょうか(Google Earth で見ると)、ちょっと開けた展望台のよ うな場所に出ます。様似の町も見えま す。この辺りは、6月頃にはツツジの お花畑になっていた所です。ちょっと したベンチになるような台もあって、 絶好のお弁当場所です。爽やかな風 と空気の中で、広々とした展望を楽し むことが出来ました。
 今し方、登ってきた道を撮影しまし た。こういう道が続いています。   帰りの道も、また違った角度から花 を見ることができるし、太陽の高さも 向きも変わっているので、違う雰囲気 の写真を撮ることが出来ます。楽しい ですね。
アポイ展望台への登り開始10:30。展望台着11:45。(上り1時間15分)
下山開始12:15。登山口着12:45。(下り30分)
上り時には、花の写真を撮りながらだったので時間がかかりました。

(※注  この所要時間は、アポイ岳頂上までのものではありません!!)

 2006年の場合は、10時15分発 展望台着11時10分なので、
上り所要55分でした。
 この天空のシャクナゲ庭園(勝手に命名しています)、花の時期には素晴らしい景観があるのですが、あまり知られていないようなので紹介ページを作りました。どうぞ、素晴らしい花々の景観を楽しんでください!!
※ この、アポイ岳ページの写真(大・小)は自由にお使いください。
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